キッチン

yayaだよ

せんぱい

職場の大好きな先輩が遠くへ引っ越した。仕事はもちろん辞めて行った。もう会えない。

こうなることは、先輩が転勤の多い営業マンと結婚した3年前からわかっていたけどときはあっという間に過ぎて、まだまだでしょうという当初の気持ちのままもう3年もたった。全然まだまだじゃない。昨日送別会があった。昨日の朝、先輩が私に餞別の品としてハンカチと、メッセージカードをくれた。みんな違う種類のハンカチをもらっているようだった。私には、白いタオル地のハンカチで表面がスエードみたいにすべすべで銀の細い糸でふちどりの刺繍がしてあって、私のイメージでこれを選んでくれたとしたらなんて優しいフィルターをかけて私をみてくれていたんだろう。優しい言葉が可愛いカードにかいてあった。持ち前のガッツで今取り組んでる新しい仕事をがんばってね、あなたは魅力的な女性です、だって
新社会人になってから丸4年、嫌なことがあっても優しく諭してくれる先輩は癒しだった。ごはんを食べることがだいすきで、同じくおいしいものがすきな人と結婚してから太ってぽっちゃりして、それがさらに優しいオーラをバンバンに出していた。飲み会でビールをのんでへろへろ笑うところ、柔和な態度ながらキビキビ仕事をさばくところ、もう見られないなんて信じられない。送別会で私は泣いた、もらったハンカチの封をあけて早速使った。先輩は挨拶で、自分の道を決めたから、みんなに会えなくなるのはさみしいけどちゃんと頑張ります、みたいなことを言っていた。
この送別会の次の日からもう職場には来ない。ほんとに今日が最後。

昔から人との別れがすごく苦手で、どうしたらいいか分からなくなって、いなくなる人に分かれる間際にさよならっていわれると仏頂面で黙ってしまってどうしようもなかった。それから家に帰って布団にもぐって、どうしよう私は取り返しのつかないことをした、もう会えないんだって泣いていた。今回は先輩の前で悲しい顔で泣いたとおもう。そうできてよかった。私が先輩のこと慕っていたことが少しくらい伝わったと思う。

先輩から学んだことをしっかり活かしてがんばりたい。できることならまた会いたい。